練習

コンビニでカップアイスをレジに持っていくと、
「すいません、スプーン二つつけてもらえますか」
と言って店員に怪訝な顔をされた。

公園につくと、よし、と意気込んでビニール袋をがさごそとさせてスプーンを取り出した。何をするのかと見ていた。スプーンの封を開けると手に持って地面にしゃがみ込み、地面をごりごりとえぐりだした。
「先輩?何してるんですか?」
「ここに穴を掘ってあげる」
「穴掘ってどうするんですか?」
はて、と先輩は手を止めて首をかしげた。ちょっと考えたが、3秒で考えることを放棄したらしく、また木のスプーンで地面をえぐる作業を再開した。
「好きなものを埋めたらいいよ」
ユウの好きなものを、とつぶやきながらも手は止めない。
公園の土は固く、木のスプーンは通用しないようで全く掘り進められていなかった。先輩はスプーンを逆手に持ちかえた。

 

書いた時期・2017・01・21

文字数・361文字