タクシーはレインボーブリッジを走る。ビルが夜の闇のなかに溶け込むから、明かりで光る窓だけ浮いて見える。それがそれぞれ後ろに流れていって、妙な立体感を生んだ。ビルひとつがひとつの銀河みたいな、星の塊が蠢いているように見える。それなのに、圧迫…
一人の青年が立っていた。白い開襟シャツのボタンをさらに開け、小麦色に焼けた肌を風に曝している。シャツの裾をスラックスに入れないタイプらしい。足元が革靴ではなくオニツカタイガーの派手なスニーカーであるところから、勤め人ではないことがわかった…
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