一人の青年が立っていた。白い開襟シャツのボタンをさらに開け、小麦色に焼けた肌を風に曝している。シャツの裾をスラックスに入れないタイプらしい。足元が革靴ではなくオニツカタイガーの派手なスニーカーであるところから、勤め人ではないことがわかった…
「先輩を探しているんです」顔を上げずに、青年は言った。青年は細身に黒いフライトジャケットの布を余らせて、ハイエースの助手席に座っていた。 「先輩ってどんな人?」 「先輩は素晴らしい人です」携帯ゲーム機の画面に目を落としたまま、青年は続けた。…
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