練習

一人の青年が立っていた。
白い開襟シャツのボタンをさらに開け、小麦色に焼けた肌を風に曝している。
シャツの裾をスラックスに入れないタイプらしい。
足元が革靴ではなくオニツカタイガーの派手なスニーカーであるところから、勤め人ではないことがわかった。良く見ると高校の制服のスラックスだ。
きっと高校2年生か3年生だろう。中学から進学したばかりのような少年の幼い顔ではない。
黒髪の短髪。はっきりとした二重瞼に大きな目に通った鼻筋。
南国風の濃く整った顔だった。

なんとなく、体に爽やかな風を纏っているようにも感じる。
きっと女子生徒からものすごくモテるんだろうな。
そういう青年だった。

そして数年後、青年は突然僕の人生に踏み入ってきて、堂々とそこに居座っている。

僕が伊志嶺青年を見たのはまだ高校生の時だった、という思い出話ということになる。

文字数・359字

書いた時期・20151012

さっきちょっと書き足した